藤村屋六代目

手鉤とかトロ箱とか

先日、京都中央卸売市場に仕入れに行った際にうっかりクレジットカードを落としてしまいまい、運悪くU字溝の溝蓋の隙間を潜り抜けて下に落ちてしまいました。

みぞ蓋を持ち上げようと思ったのですが、手をかけるところが無くて重くて全然持ち上がらない。
困ったどうしようと悩んでた所に仕入れ先の仲買の配達のお兄ちゃんがバイクで通ったので呼び止めて

「すまんが、手鉤(てかぎ)を貸して貰えんやろか?」

と頼んだところ

「てかぎ? 手鉤ですか? そんなん最近は誰も持ってませんよ」

と言われびっくりしました。

手鉤というのは下の画像のようなもので、持ち手が木で下が引っかかるように膨らみがあり、先っちょが尖った鉄で出来た30cmほどの道具です。
木製の木箱、いわゆるトロ箱を引き寄せたり持ち上げたりする際に木に鉄の部分を打ち付けて引っ掛けて使います。
魚屋さんは仲買も小売屋もみんなこれをベルトにひっかけて腰からぶら下げていた、仕事に欠かせない道具です。

藤村屋の手鉤

「えっ?そうなん? なんで持ってへんの?」
と聞いたら
「今は木箱は無くてみんな発泡スチロールになってますから、手鉤を使う用が無いんですよ」
との事

なるほど、発泡スチロールに手鉤を打ち付けたら穴が開いたり割れて、中身が出たり保温性能が落ちたりするもんね。
しかも軽いし手鉤で引っ掛けて引きずって移動さすとかしないですから。

魚屋の商売道具みたいもので仲買なら持ってて当たり前だと思ってたものが、最近はほとんど使われてないというのがビックリで、自分も歳をとったなあと思いました。

確かにうちでも木箱を運んだりする事がもうありませんから、息子が掃除する時に溝ぶたを持ち上げたりするぐらいにしか手鉤を使ってません。
手鉤の活躍の場は減りましたが、お祖父さんから私の息子も使う四代引き継がれた藤村屋の大事な道具です。

親父に付いて初めて卸売市場に行った時に
「市場の若いモンは気性が荒いので絶対喧嘩したらあかんぞ、手鉤で頭割りに来よるから」
と言われてめっちゃビビったのを思い出します。

今の市場はそんな荒っぽい人はほとんどいません。
皆さんジェントルメンです。

ちなみに上に出てきたトロ箱とは魚が入った木箱のことなんですが、トローリングで獲った魚を入れる箱、という所からトロ箱と呼ばれたそうです。
マグロのトロを入れる箱という意味ではありません。


下はうちの爺ちゃんの若い頃の写真ですが自転車の荷台に積み上げてるのがトロ箱です。
木製なので重くて水を吸ったりしてると体感的に3kgぐらいはあったように思います。
この写真を見るたびに、ようこんな重たいもんをぎょうさん自転車に積んで祇園から市場まで往復してはったなぁと感心します。

藤村屋六代目

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