毎年ひな祭りの時期が近づいてくると、近所のお茶屋のおおきいお母さんが「今年も雛がれい頼むえ」って言うてくれはったので、こっちが忘れてても仕入れができたもんですが、そんなお母さん方も鬼籍に入らはって、その娘さんの世代になるとスーパーマーケットなんぞに買い物にいかはるせいか、ここ最近はとんと売れんようになりました。
食文化ちゅうもんは簡単に廃れるもんなんですなぁ
なんの事を言うてるんかというと、ひな祭りの時にお供えしたり食べたりする食品、例えばちらし寿司や身しじみのたいたん、赤貝とかとり貝のてっぱい
和菓子やとひちぎりなんてちょっと変わったお菓子が京都にはありまして、また大阪あたりやとハマグリのおつゆなんかも食されるようで、食文化ゆえ地域色があっておもろしろいんですが、そんなひな祭りを飾るご馳走に昔は雛がれいというものがあったんですわ。
ネットで検索しても雛がれいについてはほとんど情報が出てこなくて、お母んが大事にしている大村しげ著の京暮らしって本にも出てこない
もうこれは終わった風習なんやと思ってたら、近所の瓦屋のお母さんから注文があった
どうせならええもんをと、子持ちの笹かれいの小さいのんを仕入れてきました
小さすぎておかずにするには頼りない、そして笹がれいなのでちょっとお値段が高い
注文枚数が少ないのでぎょうさん残りそうですが、消えゆく文化に対する最後の悪あがきみたいな気持ちで仕入れてきました
お母んの炊いた身しじみのたいたんとともに藤村屋の店頭で販売中です
売れたら「雛祭には雛がれいを食べる」という食文化の継続にお役に立てるかもと思いながら
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