京名物の一つにサバ寿司があります
酢でしめたサバを上に乗せた押し寿司で、江戸前の握り寿司とは違う大阪のバッテラ寿司とも違う
友人のお寿司屋さんが藤村屋に来られて「今年はまた鯖の入荷状況が悪くて困ってるんですよ」とボヤてはります
鯖すしに使う真鯖は秋に脂が乗ってくるので、多くのお寿司屋さんはこの時期に仕入れて水洗いののち塩をして冷凍保存し、一年の分をまかなわはります
この時期に良いものが仕入れられないと美味しいサバ寿司を供する事が出来ひんようになりますし、かといってあまり高値で仕入れてしまうと帳面的にとても厳しいことになります。
藤村屋のちりめん山椒で使う山椒の実の仕入れが3週間程度で一年分を仕入れなければならないので、この相場と品質を計りながらのある意味バクチに似た仕入れの大変さはようわかります
そんな友人のぼやきを聞いた翌日に京都中央市場へ仕入れに行きますと、サイズはサバ寿司に使うのには小さいけれど小判形と申しましょうかぼてっとよう肥えた秋サバが入荷してたので、数本買い求めました
大きいサバは先出のお寿司さんや料理屋さんがアホみたいな指値入れはるんで魚屋にはなかなか手が出しづらいんですが
三枚下ろしにして腹骨を鋤き小骨を毛抜きで抜いて「秋サバきずし用」とラベルを貼り藤村屋の鮮魚売り場で並べんですけども、土曜日やったせいか残念ながらというかなんというか少々売れ残ってしまいまして、心臓の手術で一ヶ月入院してて2週間前に退院してきたとこの藤村屋のお母んに、嬉々としてサバを渡し「ちょっと甘いめにした酢で漬けといて」と頼みました
塩して半日、酢に1日漬けてええあんばいに出来上がりました
子供の頃のサバ寿司といえば身が真っ白になるまでよう酢に浸かったものばかりでしたが、流通がようなって内陸の京都市でも鮮度の良いサバが入手できるようになったおかげで生っぽい食感を楽しめるええ時代になりました
藤村屋の店頭に並べてる時にひやかしの観光客が「生で食べて寄生虫とか大丈夫ですか?」と聞いてきはりましたので
「切ってる時にしっかり目視しました
ちゅうか生サバと牡蠣は自己責任、当たるも八卦当たらぬも八卦、美味しく食べといて後で文句言うぐらいなら最初から食べへんかったらよろし」
と思っているものの、そんな無責任な事が言えるはずもなく
「しっかり塩と酢でシメてもろていっぺん冷凍にしてもろたらよろし」と鮮魚商として当たり前な回答をしときました
アニサキスにあたった友人に聞くと相当痛いらしく、みなさまはしっかり冷凍にしてから召し上がってくださいね
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