半年ほど前だったか、ご近所の老舗和菓子屋さんのご隠居や御所人形師さんや趣味でリボンやさんを経営しながら雅楽を極めておられる雅楽師さんと私四人の大人の遠足で、天社土御門神道(てんしゃつちみかどしんとう)の本庁へ行ってきました。
その時の旅程でおおい町暦会館も行くつもりだったのですが、生憎の休館日で見学が出来ませんでした。
いつかこのメンバーで再訪をと思ってたのがようやく叶いました
土御門家は、平安中期の陰陽師・安倍晴明を受け継ぐ支流の一つで、代々、陰陽家として主に天文道をもって朝廷に仕えた公家です。
國學院大学HP
おおい町暦会館
おおい町暦会館は、京都市から国道162号線をひたすら北上し京都府と福井県の県境を超えてすぐのところにあります。
国道から道の駅 名田庄の看板が見えたら脇道に道の駅と同じ敷地内にあります。
奈良の古いお寺を思わすような、とても立派な建物です
浅学の私には難しい展示も多かったんですが、商売人の私の目に止まったのはこの大小月板の看板。
現在日本で使われている太陽暦は毎月の日数は異なりますが毎年同じ月は同じ日数です。
月の満ち欠けを基準に作られた太陰暦では、月の日数が毎年異なったそうです。
たとえば太陽暦なら6月は毎年30日までありますが、太陰暦は毎年月の日数が変わるそうなんです。
ちゃんと暦を見ないと訳がわかりませんね。
売掛は月末払いが主流だった昔に商店の軒先にこの看板がぶら下げられ
「今月は小の月だから月末は29日ですよ、大の月ですから30日ですよ、支払い日を間違わないでね」
なんてお知らせしたそうです。
福井県おおい町は山里で、暦会館の周りはこのような景色が広がる素晴らしいロケーションです。
暦会館を小一時間ほど見学し、本日のお勉強は終了! という事で実は一番楽しみなランチを予約した店に移動します。
鮎茶屋料理旅館 角屋
福井から京都に戻って西へ、JR西日本山陰本線の和知駅
上の写真と下の写真、実は同じものが前と後ろから映ってます。わかりますか?
はい。そうです、鮎のオブジェです。
ランチの場所は和知の角屋(かどや)さん。
和知駅の目の前、徒歩10秒です。
本日はあの美食家で有名な北大路魯山人が「日本一の鮎」を評した、和知の天然鮎を頂きにまいりました。
実はこちらの店を電話予約する時に
「ご来店日の3日と4日前が雨予報ですので、もし天然鮎が手に入らない場合は連絡します」
と言われて、残念な気持ちになるどころか期待度がMAXになりました。
来店日の3日ほど前に釣れなければ、というのは生け簀で2日ほど泳がして内臓を空っぽにする工程が必要なんですかね?
これは運良く天気が良ければ、スゴイものが頂けると興奮しました。
ご一緒した雅楽師の先生が、
「雨よ降るな」
と祈念しながら某お宮での雅楽奉納を勤められた、、、のかどうかはわかりませんが、雨は降らずにキャンセルの電話も来ず、出立当日は京都市内は朝から大雨でしたが、途中の山道も通行止めになる事なく無事に辿り着けたんです。
天然鮎のフルコース
というわけで天然あゆのフルコース(7,700円 2024/6現在)を頂きました。
先付けの丹波黒豆と鮎のうるかです。
うるかというのは鮎の内臓を一年近く発酵させたもので、イカの塩辛とかそういうのに近い風味がします。
貴重品なので箸先に少し付けて頂きます。
美味い!これは下戸な私でも日本酒が欲しくなる最高の珍味です。
続いて天然鮎のせごしです。
つい最前まで生きて泳いでたであろう、ピカピカのお顔と透明感溢れる身の断面。
少しコツコツと歯にあたる骨の歯応えがまた良く、これまた最高!
天然鮎の洗いです。
お塩か酢味噌で頂くのですが、塩で頂くのがオススメです。
参加者の一番評価がこの天然鮎の洗いでした!
天然鮎の焼き物です。
この写真、頭が無いのですが提供されたら熱々をかぶりつく衝動に駆られて、写真撮る前にかじってしまいました。
実は上の鮎の洗いの骨も後で骨せんべいにして頂いたんですが、そちらも写真撮るの忘れて一気に食べてしまいました。
鮎の時期としては少し早い6月なかばで、鮎がそんなに大きく無いから頭も骨も余すところなく頂けます。
上のせごしも同様で、鮎が育って大きくなると骨も大きくなりますから、せごしには出来ないんですね。 よく噛んでも骨が残ってしまいます。
程よく育って苔をはみ、香りの強い鮎は7月ですが、6月はこの時期しか楽しめない鮎の頂き方があります。
天然鮎の田楽
天然あゆの天ぷらと続きまして
あゆご飯
こちらは一人前に一匹鮎が入ってます。
あゆご飯とあゆ雑炊はどちらか選んで注文するんですが、この日は四人で参りましたので両方頼んで女将さんに取り分けて頂きました。
二人前を4名でシェアしたので、私のはあゆの下半身が乗ってました。
天然鮎の雑炊で天然鮎フルコースは終了です。
大満足で和知を後にし、祇園に戻ってきて本日の直会は祇園石段下のいづ重さん。
散々お昼に鮎を頂いたのに、ここでも鮎寿司を注文。
いづ重の大将に和知の天然鮎がいかに美味しかったかを語り、羨ましがらせながら大将の作った鮎寿司を食べるという京都人らしいいけずをする。
こういうのがいいんです。
で、いづ重さんの鮎寿司、そりゃ素材では和知の鮎の方が優ってますが京寿司の仕事のなせる技、いつも通り非常に美味しい。
鮎の姿寿司と大人の風味の鮎の笹巻き寿司がありますので、ぜひ両方食べてみて下さい。
そして店主のこだわりゆえ、いつになっても工事が終わらない祇園のサクラダファミリアと呼ばれてるいづ重さんのしつらえぜひ観て行って下さいませ。
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